人気ブログランキング | 話題のタグを見る

もち米を、こいた。

もち米を、こいた。_d0060094_16214360.jpg 棒架けと呼ぶ、蓑坊主に見える稲の干し方。岩手県南にかけての広い範囲で、「ほにょ」とも呼ばれる。漢字で書くと「穂如」。というのはウソで、「稲木」と当てるとか当てないとか。そう読めないよ。なぜそう呼ぶのかも皆目わからない。語感、変だよなあ。ほにょほにょほにょ。昔はコンバインもなく、ハーベスタ(自走式稲こき機)もなく、稲という稲はこうして天日乾燥だった。刈り取って乾くまでのうちに、稲は茎の糖分をすべて穂に注ぎ込み、だからおいしいとも言われる。もち用の小さな田んぼにコンバインは入れないのだ。
もち米を、こいた。_d0060094_16253837.jpg かつては拙宅でも写真2のような「はせ架け」だった。それから棒架けに変わった。田んぼに運ぶ杭と竹の量が、4分の1で済むのだ。よく乾燥させるために上下を重ね直す「取っ返し」(味噌造りでいう天地返しみたいなものか)という作業がつきもので、乾くまでの時間も多少かかるが、それでもおてんとさんの力をもらう。
 今はコンバインで、稲刈り即、稲こき。乾燥は機械で。時に一部のマスコミが「農家は自宅用のコメは天日乾燥で、出荷用には機械乾燥で処理する」と叩く。ものごとが変わっていく理由はひとつではない。要するに農家は歳をとった。手伝いが簡単に得られないように社会も変わった。現金収入に追われるようになった。消費者の声を受けて流通業界は(市場が、ということだ)安く作ることを要求する。年寄り二、三人の体力で1ヘクタール以上の稲を天日乾燥にするなど、どだい無理なのである。非食糧生産者に、それを手抜きと言う資格はあるだろうか。農家には、自分で食べるものをよりていねいに作る権利はある。それは自然の一番近くに居て、陽に笑い雨風に泣き、汗を流している作り手の特権として何悪かろう。ま、ウチじゃ手を抜きまくって全部機械乾燥になってしまっているが。
by columnbank | 2005-10-10 16:57 | 田んぼ/米
<< なおもナラタケ。 だから太る。 >>