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KAMAKURA 20.April~酒、菜の章。

KAMAKURA 20.April~酒、菜の章。_d0060094_1844252.jpg 夕方、レンタサイクルを返して、コインロッカーの手荷物を取り出す。新宿への電車時刻を確認し、前夜ふられた店に向かった。ビルの階段上がり口に、本日できます品書き。2階へ上ると、のれんだけの端正な店がまえ。あ、画像は店と関係ありません。居酒屋のカウンターで写真を撮るなど無粋の極み。ちなみに今回、すべての画像はケータイのカメラを使った。初めての試み。
 もとい。カウンターに導かれ、まずはビール。お通しは塩こんぶと千切りキャベツ和え。ゴマ油の風味がいい。包丁を握る兄さんがカッコいい。落ち着き払っているが、見たとこ30代。惚れない女いねぇだろうな〜。カツオ刺、しこ鰯の薬味和え、春キャベツと豚のさっぱり煮を立て続けに注文する。
「しこ鰯って、学名ではないですよね?」
「セグロイワシ(カタクチイワシの方が通っているかも)のことですね」
 昼にみかけた鮮魚店の店頭には、うるめ鰯も並んでいたっけ。青魚のイキは、背の色で見分ける。サンマなら背と腹の境に、鰯やトビウオなら目の後ろに、ギラリと鮮やかなターコイズブルーが走っていたら、鮮度はまずまちがいない。そういう、うるめであった。他にも金目鯛、スズキ、釜揚げのシラス……地魚が豊かな土地なのだ。
 出てきたしこ鰯は、頭と中骨を取り、小口ネギ、ショウガ、ゴマで和えてある。これは日本酒だな、早々にタンブラーをあおり、切り替えた。カツオ刺は脂がほんのり、青葉の味。宮城では秋の戻りガツオこそ脂が乗りきって最上とするけれど、個人的には甲乙つけがたい。が、最高においしいカツオであれば、無闇にタタキにはすべきではない。そのセオリーは変わらない。
 春キャベツと豚のさっぱり煮も秀逸だった。小細工はない、本当にさっと火を通しただけと言うのだが、そのだしの香りが、家の料理と違う。七味がよくあう、豚もキャベツもざくざく食べられる風味だ。菜の花とアサリのさっと煮(取り合わせも春!)というのもあって、迷ったのだが、いつかまた。
 新ジャガの大葉みそを追加。小ぶりなジャガイモを焼き、大葉の風味を添えた味噌を添える。新ジャガであれば皮はとらなくてもいいのだが、まあこれは好みの範疇であろう。土の香りが、一年ぶりに新しい。
 僕なりの店の評価は、減点法で行う。減点なしはずいぶん久しぶりだ。それも悔しいので、値段が少々張るところに減点1。昨夜の2軒目に使った元手を、こちらに振り向けるべきであった。しかし中身をともなった価格であり、他の店が色褪せて見える出来は何をおいてもすばらしい。減点などつけたが、要するに、このような店があるまちが羨ましいのだ。ひがみ減点である。
 また来るよ〜、鎌倉。湘南ライナーで新宿へまっすぐ、そして深夜の高速バスで眠りながら桜前線に追いついたのであった。(鎌倉の報告、これにておしまい)

 
by columnbank | 2006-05-01 18:06 | 外へ、旅へ
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