おいしい梅干しになりなさい。

d0060094_4553555.jpg 花巻小屋(わたくしの岩手拠点)は昨夜から本降りの雨であります。
 梅の実がなる頃の雨だから、梅雨。日本の暦とそれを現す言葉は、つくづく四季に寄り添っているものですね。いつも森羅万象をからめながら自分たちの暮らしをつくってきた。と言った方がよいでしょうか。梅干し作りもそのひとつです。
 宮城県丸森町の丸森東中学校に、梅干し作りをたずねました(学区内の自治会や女性部など地域まるごとが支援する形で[教育ファーム]事業の実施団体=丸東・改援隊をつくっています)。丸森は本県で最南端のまち。平地あり大河あり山ありの多様な自然、温暖な気候のもとで、農家は庭先に梅を植えてきました。おそらく、自家製梅干し率(そんなんあるのかよ?)は県下でもトップでしょう。
 いろはの「い」は、傷みのない美しい梅の実を選ぶこと。そんでもって水洗いしてヘタをつまようじでほじってとりのぞくこと。これは食感も左右します。なにせ20人近い手があるので、ひとつひとつのプロセスはとりかかれば数十分で住んでしまう。農家のおかあちゃんやおばあちゃんたちは、これを一人か二人でみんな行っているのだ。家族のことを考えずにできるはずはありません。あちこちで書いますが、おいしいさを作るのは腕とか技術も大切だけど、つまるところは誠意。家族の健康まで考えて作っていることが大切。
 梅干しは弁当に入れるとごはんが傷みにくい、食あたりしないといわれます。青梅を摺り下ろして煮詰めた梅肉エキスは、最新の薬学技術で数億円かけてあみ出される抗生物質まっツァオの強い抗菌力があることも知られてきました。
 この先、塩漬け梅からは[梅酢]が上がってきます。そしたら、空模様を見計らって天日干し。太陽は顔を見せてくれるでしょうか(日食が近いっけねえ)。先は長いぞ。
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# by columnbank | 2009-07-19 05:18 | 教育ファーム

有ることが難しい=ありがたい。

d0060094_1018127.jpg [教育ファーム]12団体の取り組みは、いずれ食べることがついてまわります。
 明成高校調理科[リエゾンキッチン]の生徒たちが小学校児童と行った大豆の種蒔きでは、シェフの卵たちが作るアッチッチの豚汁をいただきました。味噌はもちろん、学生たちが昨年度の教育ファーム事業で育てた大豆で仕込んだもの。インスタントと違って、素性のわからない添加物など入っているはずもなく、豚肉と根菜ひとつひとつの味がわかる直球勝負の豚汁です。
 NPO法人オリザ・ネットが実施した調理体験では、信じられないほど味の濃い豆腐をこさえて食べました。これは大豆の味とともに、指導に当たった師匠のウデも味わうことになりました。なにしろ、参加者が固めた豆腐と、師匠が固めた豆腐の味が違うんですから。豆腐を作って13年の凄味です。

 話変わってある日。行きつけの喫茶店のカウンターで、その店の常連の野菜農家が、マスターとこういう話をしていました(当方は聞き耳を立てていた訳ですが)。
「自分の舌にあう、より[安全・安心な]ものが、食いたいときいつでも、食いたいだけいくらでも、しかも安く手に入ることが当たり前と思われてないかね」
 それが消費者に保障される当然の権利だと考えている人もいるでしょう。食べ物は実に多くの手をかけて育てられ、採集され、加工されて箸の元へ届きます。でも簡単には有り難いことなのだということを、表層の言葉でなく実感している人がどれだけいるのだろうか。と思ってしまいますわなぁ、農家たった300万人、平均年齢60歳超、国内自給率40%、あるいは最近の[格安弁当戦争278円]なんて数字を見ると。
 もしも、「うまいものが食べたいだけある」ことが当然の権利だとするならば、その義務は誰が負いますか。議員さんや行政には、あるかもしれない。そのような社会をつくるべく汗を流す人なのだから。「分担社会なのだから、農家にも義務がある」と考えますか。では、たとえば農産物の価格について、農家が意欲をもって再生産にとりくめる価格を支払った上で食べる義務が、消費者側に生じませんか。

 食に対する考え方を、子供たちや学生だけでなく、消費者や、農家自身もまた見つめ直さなくてはいけないと思います。


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# by columnbank | 2009-07-10 11:04 | 教育ファーム

気がつけば、最先端男子。

d0060094_2035305.jpg 出先で食堂やレストランに入らず、井川メンパにもった[のり弁]で済ませる日が案外あります。これってつまり弁当男子じゃん!・・・何か相違はありますか。
 本日は、NPO法人せんだいプチファームが、ジャガイモ堀り他を実施した。収穫後のランチタイムは、集まったみなさんが持参した弁当を、わけあいつつ。これも各位に箸を出していただいた。霧雨の中、みんな時間を忘れて土と取っ組んでいましたね。
 農場長のブログに、なんか見覚えのある後ろ姿が載っているが、あまり気にしないようにしようと思う。
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# by columnbank | 2009-07-04 20:41 | 教育ファーム

再開〜種蒔く人に声援を。

d0060094_22203598.jpg

 ほんのしばし保存版としていた当ブログを再開します。
 6月から、[教育ファーム]の東北ブロック事務局を務めることになりました。

「教育ファームは、生産者(農林漁業者)の指導を受けながら、作物を育てるところから食べるところまで、一貫した「本物体験」の機会を提供する取組みです。
 体験を通して自然の力やそれを生かす生産者の知恵と工夫を学び、生産者の苦労を学び、生産者の苦労や喜び、食べものの大切さを実感をもって知ることが目的です。」
 〜[教育ファーム]公式ウェブサイトより。


 NPO、学校、企業などの実施に当たる団体は全国で118、東北地方では12。本部事務局(農文協)やしかるべき機関と連絡をとりながら、それぞれのスケジュールを把握し、レポートもする。という辺りが当面の仕事になるでしょう。長い目標としては、そうした活動をもっと広める、そのお手伝いです。なんというか、報告に徹するライターの立場から、もう少し踏み込んだ社会参画、になるかもしれないなーと思っているのですが。
 で、このブログは、そのこぼれ話を中心にリユース(つっていいのかね?)することにしました。
 内容は考えながら走り出しています。基本的にはざっくばらんでよかろうと。
 どちらさんも、たまにおつきあいを。

 画像? 狙いがちょっとオヤジっぽいすかね。
 6月19〜20日に実施された、NPO法人オリザ・ネットの、本年2回目の事業の模様。
 管理栄養士を目指す宮城学院女子大学生たちのよ〜っく育った足・・・は本旨じゃないですね(笑)、元気に田んぼへ入って、5月に植えた田んぼの稲を観察したのでした。おツカレサマ。
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# by columnbank | 2009-06-30 22:20 | 教育ファーム

引っ越しました。

前略

当雑記帖を含め複数あったブログを、新しいブログにまとめました。こちらです。
[blogストリームバンク]

ホームページも、引っ越しました。こちらです。
[ストリームバンク]

これまでの独自ドメインstreambank.infoは、5月11日をもって解約します。
よって、2本のメールアドレスが使えなくなります。
nasebe + @streambank.info
nabe + @streambank.info

これからの新しいメールアドレスです。
streambank に、@
そして ac.auone-net.jp と続けて下さい。


で、当[イシハナ雑記帖]は、基本的に更新しません。
アーカイヴです。
でも[環境gooブログニュース]にエントリーする投稿だけは、ここにもULして残します。そうしないと環境goo側の表示がリンク切れになっちゃうので。まぁこちらの都合、各位にすればどうでもいいことなのですが(笑)。

新ブログでのユーザー名 kawa-usso 謹白
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# by columnbank | 2009-06-18 21:18 | いろいろ

その肉の向うに、ドナドナ。

a0118120_21224882.gifa0118120_22242827.gifこの投稿は、環境goo[美しい味の日本]中のブログニュースにもエントリーしています(直リンク)。
a0118120_20572940.jpg

 16日は拙宅で産ませ育ててきた子牛[コンソメ]=近藤染子の♪ドナドナであった。
 (わからない方もいるかもしれないですね。[ドナドナ]=出荷の意。
 ♪かわいい子牛 揺られてゆくよ
  ・・・
  ドナドナドナ ドナ 子牛を載せて
  ドナドナドナ ドナ 荷馬車が揺れる より)
 朝7時、農協のトラックにコンソメを導く。この時点で手こずらせる牛が少なくない。暴れて昇降口を踏み外したらそばに立っている人は危険だし、牛が足を折るようなことがあれば商品価値は下がって二束三文。さいわいなことに、彼(去勢してるけどさ)はすんなりと載ってくれた。
 母親にばっか任せていたので、久しぶりに行った小牛田家畜市場。数年前に施設が新しくなってから、「楽になった〜」と畜産家は口々に言う。天井の走行クレーンから伸びるチェーンに、牛の頭へ回したロープをつないで誘導する。せり場の入り口が体重計になっていて、一頭一頭が通る際に計測される。
 せりは速い。
「2930番、8月生まれ、去勢。首に皮膚病の治療痕あり。
 23万円から」などとアナウンス。
 電光掲示板が明滅して数字が上昇し、せり落とされるまでせいぜい30秒。数字が動かない、つまりその値で買い手がつかない場合は
「22万円から。・・・21万円から」とスタートを切り下げるわけだが、聞いてる飼い主はツライだろうな。
 さて肝心のコンソメの値段。25万円余だった。安い。前回売った牛(ハラミと名付けていた)は40万円で売れたったのに。ウチだけでなく、最高額も55万円、おおむね20万円くらい下がっている。一時よりは落ち着いた飼料高、燃料高がまた上昇する気配があって、肥育家にとっては子牛の仕入原価を高くするとやっていけない、という面が確かにある。
 買われた子牛たちは、買った土地の名前を冠したブランド牛として18〜20カ月ほど育てられた後、肉にされる。彼らにとってほんとうの恐怖がやってくるのは、その時だ。
 きょう食卓に上がった焼き肉やシャブシャブの向うには、そのような光景がある。くらいのことを理解しておくのが「いただきます」の心だと思う。
 感傷に傾くのは本意ではない。ガッツリ焼き肉でも食いに行こうと、無性に思った。
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# by columnbank | 2009-06-18 21:11 | にゃん。& 生きもの

近所はライバル。

a0118120_5562589.jpg 淡竹と書いて[ハチク]。太くてもせいぜい径15センチくらいのタケノコで、モウソウよりも薄手の外皮に包まれている。これが北上川沿いの淡竹林にざくさく出るものだから、この季節はじーさんばーさんがよく散歩するのだ。というか、散歩は目的でなく、タケノコをゲットするために。
a0118120_556583.jpg 川岸というものは[結]で利用してきた慣例的な共有地である。かつては岸辺に網をしかけて魚を採ったり、ヨシを刈り集めて屋根を葺いた。薪などを採った[入会山]と同じだ。このタケノコも、集落の誰がとってもいい。
 数軒が毎朝毎夕熱心に「さんぽ」するわけだが、よくかちあう。後から来た方は、先に入った方が手にもつ肥料の空き袋の中身が気にかかる。
「採れた?」
「べっこ(少し)ばりな」
 ずしっ。とした量感からもちろん少しではないことはわかりきっているのだが、そこは大人の会話で(笑)。
 このタケノコ、米ぬかとともに1時間も茹でる、というモウソウ筍のような手間が要らない。数十分ほど、下煮しただけで抜群においしい。煮しめ、炒め物、天ぷら(は生から)、炊き込みご飯。繊維の質感がはっきり、シャッキシャキの爽快な歯触りを誰もが、もちろん拙宅もモウソウ以上に好む。だから、さんぽバトルは凪いだ水面のようにおだやかでありながら、その実煮えたぎっているのだ。
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# by columnbank | 2009-06-12 06:30 | 飯、菜、酒、肴

内陸で食べる海の幸。


d0060094_21213724.jpg 気をつけてみると、海から遠くはなれた土地で食べ習わす海の幸がけっこうある。刺身ではなく、まるっきり生からの料理でもない。すなわち干したり、塩で漬けたり、発酵させたり。
 元々は浜のムラで、食に差し迫る折々の不具合を、なんとか解決しようと始めた保存の工夫だろう。不具合その一、旬が短くて、そこを過ぎるとまた1年待たなくてはならない。その二、いざ旬に入ると食べきれず腐らせてしまうほどどっさり採れる。その三、冬は海が荒れて、船や漁具が発達していない時代には漁どころでなかった。
 いざ保存食というものがあみ出されると、それは採れたての魚介を食べられない土地に住む人にとっても大きな魅力になってゆく。ものを活発にやりとりすれば、人も情報も行き交うようになる。と、浜の味覚が内陸に迎えられる歴史をざっくりと想像してみた。そうしたバックボーンが、福島県会津地方の身欠きニシン料理や、秋田県横手市のとろろ昆布にはある。土地を広げれば京都で食べる若狭ものの塩魚、甲府の煮アワビといったものがそうなのだろう。
 飢えに背中を追い立てられた、苦心の味。なんてマイナーなイメージはひとまずおいといて(withゼスチャー)、こうした保存食は生鮮よりもひと味ふた味、深みがある。知恵と時間を重ね連ねると、すごい味の奥行きを築くものだ。
 で、とろろ昆布。岩手県内陸の一関市大東町にもすばらしい品があることを知った。及川商店というザッツ乾物屋さんである。パックにぴっちりと抑えこまれていた昆布をつまみ上げると、薄く薄く、しなやかでフワッフワ。味噌汁に放ってみたら、のどごしも旨味もすばらしい。一番手っ取り早く味わおうと思ったら、とろろ昆布をお椀に一盛り、お湯を注いで醤油を少々。ダシはなくてもかまわない。

d0060094_21292854.jpgd0060094_21304523.jpg

 さておまけ画像は、さりとて旨し生鮮品。左は沿岸部の大船渡漁港産サワラの刺身、右は釜石漁港産の真ダコ浜茹で。どちらも岩手県花巻市の別邸で、近所で買った夕げの酒肴。大漁港がある宮城県石巻の本宅で食べるのと、そう変わらない鮮度であった。現代の輸送スピードと鮮度を保つノウハウは、2〜3時間程度の輸送をものともしない。これも確かに、口福のひとつではあるわな〜。
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# by columnbank | 2009-05-31 21:34 | 飯、菜、酒、肴

その守り方は、正しいか。

 あなたが言えるかい、というセリフは確かにあると思う。たとえば食肉偽装をやらかしたミートホープ社長が実際に発言したのかしらん?「消費者も悪い」と。
 そういう面はある、という指摘も、第三者からの発言なら、消費者は耳が痛いながらもうなづける部分があると思うのだが。

 たとえば民俗研究家の結城登美雄さんが消費者に向かって言っておられる基本のキは、「食の愉悦を満たすためだけに、あるいは自己防衛のためだけに食べないでおくれ」ということ。自身の「安全・安心」のためだけに「有機栽培なら食べます」という考え方も、批評の対象に入る。要するに、農家を応援する気持ちで、正当な対価(再生産価格)が農漁家に渡る仕組みを使って、買って、食べてくださいよということ。

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 ひと月も前になるけれど、福岡県の食と農同志ライターちゃんから、本が届いた。『農は天地有情〜宇根豊聞き書き』。宇根さんは、福岡県の農業技師であった方。減農薬の必要性にいち早く目をとめ、地域の農家と実践してきた人である。聞き手は、本を送ってくれた彼女のアニキ分にして「食卓の向こう側」を取材し続ける西日本新聞記者・佐藤弘氏。
 書中の発言の多くは、やはり農家の側に立つ。少し引用すると・・・。
 「いちばん気になるのは、農薬の安全使用基準があくまで食物残留だけからの算定であり、農薬を直接浴びる百姓の危険性はほとんど顧みられていない」
 「生産者は消費者の健康を守り、消費者は生産者の生活を守る。産直や減農薬運動が、安全性の追求だけにとどまってはいけない理由が、ここにあります」。

 いわゆる[安全・安心]に関する話題は、どんな場面でも、消費者にとってそうでなければならないという視点で話が展開する。農家でさえ、「安全・安心」を消費者へのメーッセージとして多用しているのだから。
 サラリーマンから公務員から独立行政法人の天降り役人から農林漁業の従事者まで、みんな等しく貧乏クジは引きたくない。いきおい言動は(時には陰で)我田引水に走りがちになる。別な言い方をすれば他者の身を考えている余地がないし、それが当たり前じゃないかとする考えも決して少なくないだろう。
 でも。農を支えない社会はいずれ壊れる。保身の為にやってきたことが、回り回って自分や家族の身も危うくすることになるよ、と二人の農業サポーターは強く警告しているのだ。

[宇根豊氏はこんな人]
[結城登美雄さんはこんな人]
(どちらも農文協HPへ)
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# by columnbank | 2009-04-07 23:21 | いろいろ