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五月バヤ。

五月バヤ。_d0060094_10271131.jpg 昨日は仙台へ。妹分1号と久々に会って、ついでにうちまで送ったら、焼きハヤをもらった。実家(福島県白河)のお父ちゃんが採って、焼いては周囲にふるまっているらしい。
 ハヤの標準和名はウグイ。この季節、体に赤い婚姻色が浮かぶので「アカハラ」とも呼ばれる。川の中〜上流域に暮らす父ちゃんたちにとって、5月のハヤ漁は何よりの川遊びなのだ。川底の小石をならして、彼らが産卵しやすい浅瀬をつくる。川原にかけた番屋でたき火を起こし、ウエットスーツのまま茶(焼酎だったりもする)を飲んだり一寝したり、時には着替えて仕事に行ったり。いずれ、しばらく経ったら「瀬」をうかがって、ハヤが集まっていたら投網をかける。
 名手の投網はすごいもので、魚が楕円形に集まっていれば、網も楕円形に開くよう投じる。なんてのはまだちょろい。曲玉のようにカーブした形に群れていたら、投網も右なり左なりカーブに応じて開くよう投げるのだ。
 ウナギと違って高く売れる魚ではないので、もっぱらの遊び。番屋で串に刺して焚き火であぶり、隣近所や親戚にあげるのが、時候の挨拶、つきあいでもある。
 海の魚で育ってきた人にとっては、川魚は食べつけないものであろう。もちろん当方はおいしくいただく。先入観なく、舌に全信頼をおいて味わえば、イワナ、ヤマメ、ハヤの味には遠く、しかし確かに、海の魚の味もひそんでいるのだ。
 ところで、1号を送る途中の輪王寺が、都市計画道路によって大きくその景観を変えていたことを今になって知り、あごが落ちるほど驚いた。交通量の多い道脇にありながら、針を落としても聞こえるように森閑とした参道、7月にアヤメが咲く庭園。近くの資福寺(あじさい寺)と並んで、仙台で最も好きな寺と答える人が多い。それが道路の拡幅とトンネル化のために、山門から続く樹林を切り倒され、痛々しく土をさらしていた。
 地元のことを一番知らない自分にも呆れたが、まともな頭とは到底思えない。輪王寺を文化財に指定しているのは他でもない、仙台市である。仙台はもともと永劫の発展を願った「千代」からの転とされるが、いよいよ先はないな。
by columnbank | 2006-05-11 10:47 | いろいろ
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