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畦道の花ふみしだき。

畦道の花ふみしだき。_d0060094_17454139.jpg 草刈機を進め、中学生の伸び盛った坊主頭みたいな畦を刈る。白、黄、紫、たくさんの小さな花が、回転する刃の下になっていく。戦車で野の花を蹂躙する光景を重ねないでもない。逃げろや蛙たち。
 花や木は、怖いとか、痛いとか感じるのだろうか。植物に精神感応(テレパス)の能力があることをどこかの学者が発見したとかしないとか読んだのは、ずいぶん昔の子供向けオカルト方面の記事だったが。真偽は研究されていないのだろうか。人の耳に聞こえないからと言って、声を発していないとは断言できない。隣家の立派なエノミが伐り倒されるときは、手慣れた作業員がチェンソーを操っていく光景を窓から見ながら、かの大木が感じているかもしれない恐怖、絶望、実際には聞こえていない叫びなどを想像して身震いした。あたりまえの風景の一角にある好きな木だったから。
 通った後にはムクドリやアマサギが飛んできて、ミミズ、虫、逃げ遅れたカエルを競ってついばんでいた。むごいと言えばむごい。でもまた一ヶ月経てば元の木阿弥。雑草のしたたかさに溜め息をつくことになるのだ。まだ15センチ程度の苗の間には、時折音符が動く。1センチくらいのオタマジャクシだ。

by columnbank | 2006-05-23 17:55 | 田んぼ/米
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